Tsar & Tsai Foundation法律講座 -企業が従業員を解雇する際に面する挑戦

2016-12-31

違法行為をした従業員に対して、有期懲役以上の刑が確定し、且つ執行猶予又は罰金刑への代替許可がない場合は台湾労働基準法(以下「労基法」という)第12条1項3号に基づいて解雇することができるが、その他大多数の場合は同条1項4号が規定する「労働契約又は就業規則に違反し、その事情が重大である」に基づいて解雇するしかない。

裁判所の実務見解によれば、「事情が重大」の判定基準は以下を含む:(1)実質認定:雇用主が定める就業規則を事情の重大さの判定基準にしない;(2)最終手段性:従業員が具体的に違反した就業規則の内容から見て、雇用主が解雇以外の懲戒手段を取るのを客観的に期待することが難しい;(3)比例原則:解雇は従業員の違反行為と相応でなければならず、違反行為の内容、初犯又は累犯、故意又は過失、雇用主及び会社に生じた危険及び損失、雇用関係の緊密さ、勤続期間の長さ等はいずれとも解雇のレベルに達するかの判断基準になる;(4)即座解雇の必要性:違法行為によって労働関係が妨げられ、雇用主に即座労働契約を終了させる必要性が生じた。

よく見られる案例として、裁判所は以下のように見解を示した:従業員のキックバック受取案件について、当該従業員はすでに業者からキックバックを複数回受け取ったため、雇用主に対する忠実義務に違反しており、且つ業者も見積価格を上乗せしたため、当該従業員は雇用主の合法利益を守らず、雇用主の損害の回避又は軽減もしなかったこと。よって、労働契約の忠実義務及び人事管理規則に違反した事情は重大であり、免職処分にするのは根拠がある。また、従業員の出張旅費架空請求案件について、当該従業員が複数回にわたって架空請求をしたことは、従業員の忠実義務違反に当たり、社内管理にも大きく影響したため、事情は重大であり、雇用関係を終了させることは可能である。

解雇に関する紛争を回避するため、就業規則に解雇事由を明記し、且つ確実に従業員全体に知れ渡るようにすることをお勧めしたい。なお、労基法第12条2項の除斥期間規定に関して、起算点となる「事情を知ったとき」は、会社が従業員の労働契約又は就業規則違反の事情が重大であることについて確信したときである。過去の裁判例によれば、社内調査手続が完了し、雇用主が違反について相当な確信を持った時点から除斥期間が起算される。労使双方の権益を保護するため、企業が従業員の違法行為について内部調査を行う際、この30日間の除斥期間に留意しなければならない。

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